減資について

こんにちは。

9月も半ばです。一瞬、涼しくなったかと思いましたが、まだまだ暑いですね。

今日は、減資のお話です。

目次

減資とは

減資とは、その言葉通り、「資本金の額」を「減少」する手続のことです。

減資をする理由は、主に次の3つになるかと思います。

  • 減資した資本金を剰余金として、株主に分配する
  • 欠損(赤字)の補填とする
  • 節税

剰余金の株主への分配(有償減資)

減資によって減少した資本金は、原則「その他資本剰余金」となります。

剰余金は、資本剰余金でも利益剰余金でも、株主に分配することが可能です。

株主に利益分配をしたいけど、剰余金が無いため、資本金を取り崩して分配するようなイメージです。

欠損填補

会社の業績が芳しくなく、赤字が出てしまっている場合に、資本金をその赤字に充てて補填することができます。

節税

資本金の額が多いことにより、税金面で不利益が生じる場合があります。

現金が欲しいため増資をするけど、一定の資本金の額を超えたくない場合に、増資→減資をしたりします。

減資の流れ

減資の内容の決定

減資をする場合、原則「株主総会の特別決議」により、

  • 減少する資本金の額
  • 減少する資本金の額の全部または一部を準備金とするときは、その旨および準備金とする額
  • 資本金の額の減少の効力発生日

を定めなければなりません。(会社法447条1項)

例外として、

  • 定時株主総会で上記を定め、かつ、
  • 減少する資本金の額がその定時株主総会の日における欠損の額を超えない場合

については、「株主総会の普通決議」でよいとされています。

また、

  • 株式の発行と同時に減資する場合で、結果として資本金の額が減少しない場合

については、株主総会ではなく、「取締役会(取締役会非設置の場合、取締役の決定)」で減資の内容を定めることができます。

債権者保護手続き

上記の内容を決定すれば、すぐ減資できるわけではありません。

減資は、株主への剰余金の分配に繋がるなど、会社の財産が減少するケースが多いので、基本的に債権者にとっては不利に働きます。

その債権者の保護を図るため、事前に公告(官報や日刊新聞等で、公に知らせる手続)をして、1か月以上の期間を置いて、ようやく減資することができます。

公告期間中に債権者から異議があった場合は、弁済や担保供与をして、減資をしても問題無いことをアピールしなければいけません。

資本準備金とは

ここで少し話がそれますが、資本準備金のお話です。

資本準備金とは、資本金とは別に、万が一赤字になった時等のために取っておくお金のことです。

会社法445条2項及び3項を見ると、「前項(設立時又は株式発行時の払込み又は給付)に係る額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないこと」ができ、「計上しなかった額は資本準備金として計上しなければならない」とされていますが、その総額に限度額はありません。(会社法コンメンタール11、p6)

減資した際に、その減資した額を準備金とする場合には、公告しなければならないこととされています。(会社法449条2項)

ただ、これが無い公告は無効なのか?という疑問があります。

それは、株主総会の決議によってその他資本剰余金を資本準備金に組み入れることができるからです。

減資した額を準備金に組み入れたいのに公告することを忘れてしまっても、減資の効力発生後に株主総会で決議をすれば、すぐに資本準備金とできてしまうのです。

このあたり、詳しい方がいらっしゃいましたら見解をご教授いただければ幸いです。

減資の効力発生

減資の話に戻ります。

減資内容の決議ができ、債権者保護手続きも完了すれば、効力発生日に減資の効力が発生します。

株主総会の決議日と公告日については、どちらが先になっても構いません。

先般から述べている通り、減少した部分は、原則「その他資本剰余金」に、内容で定めていれば「資本準備金」となります。

まとめ

減資をする場合、債権者保護手続が必要という部分が一番大切です。

債権者からの異議が出た場合には速やかに対処しましょう。

準備金の話について、考えを聞けると嬉しいです。

おわり。

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